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高校生の頃、一番のめりこんだのが『小演劇』の世界でした。
あれは麻薬のようなもので、一度舞台の上でスポットライトを浴び、人々の拍手を受けると病みつきになってしまい、抜け出せなくなってしまいます(笑)。
幸いなことに私は高校の外で、大学生の方々が主催するサークルに参加させていただくことができ、学業も家族もそっちのけで狂ったように頭のてっぺんまでどっぷりと浸かっていきました。
高校を卒業し、仕事もそこそこに演劇にとりくんだおかげで家族と衝突を繰り返し、一人暮らしを始めて、ますます私の生活は乱れていきました。
でも、私はそのときただ遊んでいただけで、本気で演劇に取り組む人々を愚弄するような行為を続けていたにすぎなかったんですね。
自らプロデュースする芝居を公演しました。なんとか乗り切れたものの、多大なる迷惑をたくさんの方々におかけする結果となってしまいました。
その教訓を生かせぬままに二回目を企画しました。が、ついてきてくれる人はいませんでした。
演劇は一人でするものではない。一人の我がままで人を振り回すことではない。
気づいた時は手遅れでした。当時の私には多額の経費がかかっている状態で公演は中止、私は関西小演劇界からの追放を、師匠より言い渡されました。
5年余りが経ちました。去年から始めた職場で、偶然昔共に舞台を踏んでいただいた先輩に再会し、その方のお芝居を観にいくようになりました。
そして、今回先輩が出演するお芝居は、私の師匠が手がけているものでした。
勇気を出して、改めて謝罪する意味を込めて私は劇場のある施設に足を踏み入れました。実に5年ぶりのことでした。
再開した師匠は、開場前の時間を利用して忙しそうにごはんをたべていました。
「お久しぶりです、ご無沙汰しております」
そう言葉にするのがやっとでした。それからすこしあって、師匠は食堂の隣の椅子を勧めてくれました。
「お前、随分雰囲気がおちついたな」
「あの時があまりに滅茶苦茶すぎたんやと思ってます」
「……あんな形にしかしてやれんでごめんな」
「師匠が謝ることないです、すみませんでした」
そんなやりとりがあって、やがて。
「僕、師匠の言いつけどおりにこの5年、ずっと芸事には手を出さずにきました。辛かったです」
思わず、ストレートに本心をぶつけてしまった後、師匠は本当に何とはなしに、言いました。
「……でもなあ、もうええぞ。すきなことやり」
……嬉しかったです、すごく。でもね、師匠……。
ただそういわれても、今更何をやっていいのか、私にはわからないですよぉ。
ただ、願わくば。もう一度師匠の下で勉強しなおさせてほしいんですけど……。
やっぱり、そこまで甘えちゃいけませんかね、今更。
気持ちはとりあえず、これですっきりしましたが。……なんかまた、新しい澱がたまっていきそうですよ。
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妄想癖を活かしてなんとか仕事にできないものかとライターを名乗り始める。
未だ芽は出ず。とにかく人との交流を求めて遊びまわる。
趣味は人生。座右の銘は「終わりよければすべて良し」。未だ人生の終わりはみえない。